
シーケンシャルミッションとは
シーケンシャルミッションは、その変速方法に大きな特徴があります。
1>2>3>4>5>4>3>2>1, Nと1速づつの変速操作をするミッションとなります。マニュアルオートバイなどもこの構造です。普通のマニュアル車(Hシフト)のように1速から3速、4速から2速など飛ばすことはできません。この一般的なHシフトのミッションはシンクロ機構、ヘリカルギヤと言う斜め歯のギヤで作られており、ギヤも入れやすく音が静かというメリットがあります。
しかしその反面、その機構故にスポーツ走行やドリフト競技などのチューニングされた強大なエンジンパワーを受け止めるには強度が不足してしまい最悪ブローを引き起こすことに繋がりのです。
それに対してシーケンシャルミッションはスパーギヤと言うストレートカットの歯となり、シンクロ機構がないため部品点数も少なくなります。その分ギヤに厚みを持たせ材質も強度を上げることが可能となり耐久性を高めることができ、その結果大きなパワーをしっかり伝達することが可能になるのです。
シーケンシャルミッションは独特のヒューンと言う音がしますがこれがスパーギヤである証です。一般のマニュアル車でもバックギヤだけはこのスパーギヤが採用されているので、バックをすることでこの『ヒューン音』を体感することができます。聞いたことがあると思いますが、クレーン車など大型重機車両などパワーが必要な特殊車両が交差点や渋滞で発進加速するたび聞こえる音がこの音です。


写真は当社取り扱いTTiシーケンシャルミッション
今、シーケンシャルミッションが注目されている理由
純正ミッションが手に入らなくなる
古い車種の純正ミッションもいよいよ部品が廃番になったり入手が困難になってきています。
苦労して中古の純正品、稀に新品を手に入れたとしても強度が上がっている訳もないので、ハイパワーに耐えられるはずもありません。交換しては壊れるを繰り返す悪循環になっています。
状態の良い純正中古とて30万前後のものを頻繁に交換するより、シーケンシャルミッションに載せ換えて、長く使えばランニングコストは下がり、タイムが上がる可能性が向上します。
ドリフトやタイムアタック車両に使われるのも納得
その耐久性とメンテナンスのしやすさ(TTi自分でオーバーホール可能)と、前後2方向だけに1速づつ素早く確実にシフトチェンジができ、回転を合わせればクラッチ操作無しでギヤのアップダウンができるのは「ここぞ!」の時の大きなメリットで、それがモータースポーツ車両に多く使われる理由の一つです。シフトアップするたびに回転の落ち込みもなく「バン!」と前に出て行く爽快感、そしてH型シフトに比べて明らかにシフト操作のタイムロスが無いので、よりハンドル操作に集中できることのメリットは計り知れません。
TTiシーケンシャルが選ばれる理由

- シンプルな機構で高い整備性。
- 高耐久、軽量、コンパクト。
- 充実したアフタフォローと自己整備可能、パーツ交換可能。
- エンジン型式変更でもギヤボックスは利用可能。
TTiシーケンシャルミッションの800hpものパワーを受け止める機構は意外にもシンプルに構成されており、メンテナンスもしやすく、そして軽量化にも繋がり、故に抵抗も少なくなります。そのため本来あるべき失われた馬力も帰ってくるなどメリットは多くなります。TTiシーケンシャルにしただけで約3馬力程度はアップすることもあり、D1出場選手からも高評価をいただいています。
ご自身で分解整備が可能なシーケンシャルミッション
TTiのシーケンシャルミッションを採用されているユーザーからは、その卓越した強度と耐久性、最適な歯幅の設定にご満足いただいており、TTi全てのシーケンシャルミッションはレース競技でのご利用において、その耐久性と素早くかつ確実なシフトチェンジが可能となるよう綿密に計算して設計製造されています。
TTiシーケンシャルミッションは割りピン1つから部品を単品で購入することが可能であり、APJでは日本のユーザー様が長くご使用いただけるように万全のサポートを提供しております。
汎用ギヤボックスはエンジン型式が変わっても使える
TTiのギヤボックスはあくまで汎用となります。仮にエンジン形式を変更した場合でも、ベルもしくは車種別ベル用アダプター、そしてインプットシャフト単品だけを購入するだけで、エンジンの変更に対応できる為、将来に渡り長くご使用頂く事が可能になってきます。
例えば、当初13B用のキットで戦っていたお客様の場合は、2JZに変更した際にアダプターのみを交換し再使用が可能になります。つまり、いつでもSRからRBでも2JZでも13Bでも簡単に変更可能になるのは大きなメリットとなります。
シーケンシャルミッション(TTi)を装着するには

・③TTiシーケンシャルは汎用ギヤボックス
TTiシーケンシャルミッションのギヤボックスは汎用のギヤボックスです。それぞれの車両にポン付けというわけには行きません。
車種別キットは、ギヤボックスに車種ごと専用のベルハウジング(以下ベル)だったり、純正ベルを付けるための専用アダプター、そしてインプットシャフトなどお客様の車両に必要とされる部品を組み合わせてお届けしております。このようにTTiシーケンシャル本体の基本は一つの汎用ギヤボックスなのです。
上の図にありますように、①〜④の組み合わせが『車種別キット』となります。①のインプットシャフトはオーダーいただいた車種別のインプットシャフトが組み込まれた状態で納品されます。
・⑤ベルハウジングについて
APJで販売する車種別キットにより利用できるベルが異なります。
・純正のベルハウジングを使用する車種は、シルビアSR(S13〜S14)、FT86/BRZ、FC,FD 13B/20B、S2000用で純正のクラッチ機構がそのまま利用可能です。
・TTi製の専用ベルハウジング(キットに含まれます)になるのは、2JZ、RB25/26/30,GTRで、この車種は純正のクラッチ機構は使えず、油圧クラッチレリーズ仕様TOB(Tilton)となります。
・⑥ミッションマウントについて
ミッションマウント(FD3S/FC3SはPPF)はお客様側で加工・製作が必要になります。
現在SR用キットのみ専用のミッションマウントをオプションでご用意しております。
・⑦プロペラシャフトについて
TTiギアボックスのアウトプットフランジはGTR 4穴タイプ、もしくはHILUX(ハイラックス) 4穴タイプから選択いただきます。基本はプロペラシャフトもお客様にて製作されることを推奨しますが、純正のようなフロントのスライドインプットではなくなるのでGTR CVもしくはハイラックスペラの稼働部を流用して製作することになります。
ご自身で加工が困難な場合は、加工元になるハイラックスペラ、デフ側ヨークをご支給いただければ有償(見積)でカスタム製作いたします。加工元のハイラックス伸縮ペラをも弊社手配をご要望であれば後日実費をご請求にて手配しますが、ペラ自体は弊社で中古を仕入れてカスタムすることになります。
プロペラシャフトカスタム製作をご希望される場合は問合せ時にお見積りします。
・プロペラシャフト 新品パイプ加工装着 ヨーク&フランジ付替え加工
・プロペラシャフト フルダイナミックバランス測定重量合わせ加工
・ハイラックス伸縮ペラ手配料(実費時価)
上記項目でお見積りします。完成品には、プロペラシャフト検査成績書を添付いたします。
TTiシーケンシャルのギヤボックスは3種類
仕様は、4速、5速、6速となります。
4速:直結タイプ。ドラッグで主に活躍するミッションです。
5速:直結タイプとODタイプをラインナップ。主にドリフトユーザーに支持されています。
6速:直結タイプとODタイプをラインナップ。サーキット周回、タイムアタックユーザーに支持されています。
●4速
ギヤボックス本体重量:約24kg
主な用途;ドラッグマシンなど

ギヤ | 直結タイプ: ギヤ比 |
---|---|
1速 | 2.47 |
2速 | 1.68 |
3速 | 1.25 |
4速 | 1.00 直結 |
ー | ー |
ー | ー |

4-speed(直結/OD共)本体のみ
定価:¥990,000
(税込¥1,089,000)
●ご注文時にギヤ比2.47を2.64のギヤ比に変更が可能です。ドリフト競技の追走の場合、ゼロスタートが重要となるため、仮に1速と2速が離れても2.64の方がベターです。
5速
ギヤボックス本体重量:約31kg

ギヤ | 直結タイプ: ギヤ比 | ODタイプ: ギヤ比 |
---|---|---|
1速 | 2.47 →2.64に変更可 | 2.40 |
2速 | 1.83 | 1.68 |
3速 | 1.44 | 1.25 |
4速 | 1.20 | 1.00直結 |
5速 | 1.00 直結 | 0.90 |
ー | ー | ー |
6速
重量:約34kg

ギヤ | 直結タイプ: ギヤ比 | ODタイプ: ギヤ比 |
---|---|---|
1速 | 2.64 | 2.47 |
2速 | 1.90 | 1.83 |
3速 | 1.53 | 1.44 |
4速 | 1.31 | 1.20 |
5速 | 1.15 | 1.00直結 |
6速 | 1.00 直結 | 0.90 |

車種別キット
TTiシーケンシャルの車種別キットはこちらをご覧ください。
シフトリンケージは2種類から選択
ご注文時に2種類のシフトをお選びいただけます。いずれもTTi社純正の逸品です。
シフトノブは付属しておりませんのでご自身でご手配ください。(M10×P1.5)

シフトレバーとリバースレバー別体の2本タイプ。操作性はドリフト向きです。

シフトレバーとリバースレバーが1本のタイプ。操作性はタイムアタック、一般レース向きと言えます。
メンテナンスとアフターサービス

例えば、ドグリングは定期的に交換が必須となります。シンクロ機構を持たないこのシーケンシャルはドグリングで切り替わります(内部に3枚使用)。程度は乗り方次第なので、一概に寿命を明言することをできません。適切な使い方をすれば、何シーズンも持つ場合もあります。
(詳しくは高精度オーバーホールを参照)
ドグリング噛み合い式構造は素早くかつ確実なシフトチェンジが可能となるよう高度に計算され組み込まれています。これらは独自のドグリング構造を採用し、アウトプットシャフトに対して回転式ドラムとシフトフォーク機構によって節度ある気持ち良いシフトタッチを実現しています。
当然適切でない使い方をした場合は1シーズンでドグリングが交換になることもあります。TTiのドグリングは1枚19,800円(税別)という、お求めやすい価格なので定期的に交換すれば長くお使いいただくことが可能になります。
ただ、ほとんどの名のあるメーカーのシーケンシャルは分解不可とされていて、さらには当然部品などの価格は公表されていません。
安心・明朗会計の国内オーバーホールサービス
TTiのオーバーホールの時期とタイミングは乗り方にもよりますが、推奨間隔はスロットル開度70%以上のレーシング走行距離800kmごとでご案内しています。
その都度内部を完全分解し、全ての部品を点検する必要があり、特にドグリング のチェックは必須となります。
ミッションの最高の性能を発揮するためには必ず必要なオーバーホールを実施してください。
個人で難しい場合は有料でのオーバーホールも受けております。
また、オイル交換時に大量の金属粉が出た場合は、すぐに使用を中止して点検をしてください。
TTi社について

TTi(Trans Tasman Industries Ltd)インダストリーズの製品は、価格競争力が有りながらその性能、品質、信頼性及び商品価値が高く 最高の性能を発揮するTTI GTOミッションシリーズとして世界のプロドライバー、チューナー、メカニックから支持を受け、今ではアジアのレースやヨーロッパ、北米のレース市場に対しても多くの4速・5速・6速のシーケンシャルミッションを輸出しています。
しかし数年前まで日本ではTTi製品を確かな情報の元購入できる方法がありませんでした。そこでAPJ(平野)が自ら輸入し、 分解しテストした結果と要望を直接TTiとやりとりした結果、TTi社長から絶大な信頼を勝ち取ることになり日本での代理店を任せられています。
その結果、日本のチューニング界で注目され、問い合わせやご相談いただく件数は年を重ねるごとに倍増しており、またお買い上げいただいています。
おすすめオプション

特注プロペラシャフト製作
プロペラシャフトカスタム製作
TTiギヤキットにはプロペラシャフトは付属していません。お客様でご用意いただくことになりますが、ご希望によりお客様オーダーの車種別ギヤキットに合わせてカスタム製作承ります。加工元になるペラシャ(ハイラックス 4穴等)と、TTi搭載する車両ペラのデフ側ヨークはご支給いただきます。(弊社手配の場合別途ご請求)
TTi見積り問い合わせ時にお申し出ください。