
TTi(Trans Tasman Industries Ltd)は、高耐久を要求されるレーシングマシン、ドリフトマシンなど競技車両用のトランスミッションメーカーで、ケースの鋳造とギアの熱処理は協力会社で行っていますが、全ての部品のデザインと設計開発、マシニング加工から組み立てまでを一貫してTTi自社で行っています。
同社のTTiシーケンシャルミッションは、その耐久性・素早くかつ確実なシフトチェンジが可能となるよう綿密に計算して設計製造されています。軽量ながらその卓越した強度と耐久性において性能・品質・信頼性は非常に高く最高の性能を発揮し、世界のプロドライバー、チューナー、メカニックから高い評価を受け数多くのレーシングチームに採用されています。
APJは、このTTi社の日本正規代理店としてユーザー様のご希望のギヤ比など細かな要望にお応えし、APJオリジナルの日本語取説をつけてお届けしています。アフターフォローもギヤボックスの製造番号で管理し、ユーザー様への部品の供給やオーバーホール・技術サポートなどを行っています。
TTiシーケンシャルを選ぶメリット
- シンプルな機構で高い整備性。
- 高耐久、軽量、コンパクト。
- 充実したアフタフォローと自分で分解整備、パーツ交換可能。
- エンジン型式変更でもギヤボックスは利用可能。
TTiのミッションは1000馬力もの高出力パワーを受け止められるよう設計されたミッションです。しかし、その機構は意外にもシンプルに構成されており、他社のシーケンシャル(他社はほとんどが封印されています)に比べ非常にメンテナンスもしやすくなり、それが軽量化にも繋がり故に抵抗も少なくなり、故に本来あるべき失われた馬力も帰ってくるなどメリットは多くなります。TTiシーケンシャルにしただけで約3馬力程度はアップすることもあり、D1出場選手からも高い評価をいただいています。
自分で分解整備・部品交換が可能
TTiシーケンシャルミッションはご自身での分解整備をTTi社も推奨しておりそのための部品供給も適切に行なっています。割りピン1つから部品を単品で購入することが可能で、日本のユーザー様に長くご使用いただけるようにAPJが万全のサポートを提供しております。
ギヤボックスはエンジンを変更しても使える
TTiのギヤボックスはあくまで汎用のぎやボックスとなります。仮にエンジン型式を変更した場合でも、ベルハウジングもしくはTTi車種別ベル接続用アダプター、そしてインプットシャフト単品で購入すればエンジンの変更に対応できる為、将来に渡り長くご使用頂く事が可能となります。
例えば、当初13B用のキットで戦っていたお客様の場合は、2JZに変更した際にアダプターのみを交換して再使用が可能になります。つまり、いつでもSRからRBでも2JZでも13Bでも簡単に変更可能になるのは大きなメリットとなります。
シーケンシャルミッションへの換装が増えています
純正ミッションが手に入らなくなってきた
古い車種の純正ミッションもいよいよ部品が廃番になったり入手が困難になってきています。
苦労して中古の純正品、稀に新品を手に入れたとしても強度が上がっている訳もないので、ハイパワーに耐えられるはずもありません。交換しては壊れるを繰り返す悪循環に劣っているドライバーが多くなっています。状態の良い純正中古とて30万〜のものを頻繁に交換するより、シーケンシャルミッションに載せ換えて、長く使っていけばランニングコストは下がり、タイム向上にも期待ができます。
ドリフトやタイムアタック車両に使われるのも納得
その耐久性と、前後2方向だけに1速づつ素早く確実にシフトチェンジができ、回転を合わせればクラッチ操作無しでギヤのアップダウンができるのは「ここぞ!」の時の大きなメリットとなり、それがモータースポーツ車両に多く使われる理由の一つです。シフトアップするたびに回転の落ち込みもなく「バン!」と前に出て行く爽快感、そしてH型シフトに比べて明らかにシフト操作のタイムロスが無いので、よりハンドル操作に集中できることのメリットは計り知れません。
TTiシーケンシャルミッションを装着するには

・③TTiシーケンシャルは汎用ギヤボックス
TTiシーケンシャルミッションのギヤボックスは汎用のギヤボックスです。それぞれの車両にポン付けというわけには行きません。
車種別キットは、ギヤボックスに車種ごと専用のベルハウジング(以下ベル)だったり、純正ベルを付けるための専用アダプター、そしてインプットシャフトなどお客様の車両に必要とされる部品を組み合わせてお届けしております。このようにTTiシーケンシャル本体の基本は一つの汎用ギヤボックスなのです。
上の図にありますように、①〜④の組み合わせが『車種別キット』となります。①のインプットシャフトはオーダーいただいた車種別のインプットシャフトが組み込まれた状態で納品されます。
・④アウトプットフランジについて
TTiギアボックスのアウトプットフランジはGTR 4穴タイプ、もしくはHILUX(ハイラックス) 4穴タイプから選択いただきます。
・⑤ベルハウジングについて
APJで販売する車種別キットにより利用できるベルが異なります。
・純正のベルハウジングを使用する車種は、シルビアSR(S13〜S14)、FT86/BRZ、FC,FD 13B/20B、S2000用で純正のクラッチ機構がそのまま利用可能です。
・TTi製の専用ベルハウジング(キットに含まれます)になるのは、2JZ、RB25/26/30,GTRで、この車種は純正のクラッチ機構は使えず、油圧クラッチレリーズ仕様TOB(Tilton)となります。
・⑥ミッションマウントについて
ミッションマウント(FD3S/FC3SはPPF)はお客様側で加工・製作が必要になります。
現在SR用キットのみ専用のミッションマウントをオプションでご用意しております。
・⑦プロペラシャフトについて
基本はプロペラシャフトもお客様にて製作されることを推奨しますが、純正のようなフロントのスライドインプットではなくなるのでGTR CVもしくはハイラックスペラの稼働部を流用して製作することになります。
ご自身で加工が困難な場合は、加工元になるハイラックスペラ、デフ側ヨークをご支給いただければ有償(見積)でカスタム製作いたします。加工元のハイラックス伸縮ペラをも弊社手配をご要望であれば後日実費をご請求にて手配しますが、ペラ自体は弊社で中古を仕入れてカスタムすることになります。
プロペラシャフトカスタム製作をご希望される場合は問合せ時にお見積りします。
・プロペラシャフト 新品パイプ加工装着 ヨーク&フランジ付替え加工
・プロペラシャフト フルダイナミックバランス測定重量合わせ加工
・ハイラックス伸縮ペラ手配料(実費時価)
上記項目でお見積りします。完成品には、プロペラシャフト検査成績書を添付いたします。
TTiシーケンシャルのギヤボックスは3種類
仕様は、4速、5速、6速となります。
4速:直結タイプ。ドラッグで主に活躍するミッションです。
5速:直結タイプとODタイプをラインナップ。主にドリフトユーザーに支持されています。
6速:直結タイプとODタイプをラインナップ。サーキット周回、タイムアタックユーザーに支持されています。
●4速
ギヤボックス本体重量:約24kg
主な用途;ドラッグマシンなど

ギヤ | 直結タイプ: ギヤ比 |
---|---|
1速 | 2.47 |
2速 | 1.68 |
3速 | 1.25 |
4速 | 1.00 直結 |
ー | ー |
ー | ー |

4-speed(直結/OD共)本体のみ
定価:¥1,188,000
(税込¥1,306,800)
●ご注文時にギヤ比2.47を2.64のギヤ比に変更が可能です。ドリフト競技の追走の場合、ゼロスタートが重要となるため、仮に1速と2速が離れても2.64の方がベターです。
5速
ギヤボックス本体重量:約31kg

ギヤ | 直結タイプ: ギヤ比 | ODタイプ: ギヤ比 |
---|---|---|
1速 | 2.47 →2.64に変更可 | 2.40 |
2速 | 1.83 | 1.68 |
3速 | 1.44 | 1.25 |
4速 | 1.20 | 1.00直結 |
5速 | 1.00 直結 | 0.90 |
ー | ー | ー |
5-speed(直結/OD共)本体のみ
定価:¥1,498,000
(税込¥1,647,800)
6速
重量:約34kg

ギヤ | 直結タイプ: ギヤ比 | ODタイプ: ギヤ比 |
---|---|---|
1速 | 2.64 | 2.47 |
2速 | 1.90 | 1.83 |
3速 | 1.53 | 1.44 |
4速 | 1.31 | 1.20 |
5速 | 1.15 | 1.00直結 |
6速 | 1.00 直結 | 0.90 |
6-speed(直結/OD共)本体のみ
定価:¥1,648,000
(税込¥1,812,800)
シフトリンケージは2種類から選択
ご注文時に2種類のシフトをお選びいただけます。いずれもTTi社純正シフトリンケージキットとなります。
シフトノブは付属しておりませんのでご自身でご手配ください。(M10×P1.5)

シフトレバーとリバースレバー別体の2本タイプ。操作性はドリフト向きです。

シフトレバーとリバースレバーが1本のタイプ。操作性はタイムアタック、一般レース向きと言えます。

車種別キット
TTiシーケンシャルの車種別キットはこちらをご覧ください。
TTiのメンテナンスとアフターサービス

例えば、ドグリングは定期的に交換が必須となります。シンクロ機構を持たないこのシーケンシャルはドグリングで切り替わります(内部に3枚使用)。程度は乗り方次第なので、一概に寿命を明言することをできません。適切な使い方をすれば、何シーズンも持つ場合もあります。
ドグリング噛み合い式構造は素早くかつ確実なシフトチェンジが可能となるよう高度に計算され組み込まれています。これらは独自のドグリング構造を採用し、アウトプットシャフトに対して回転式ドラムとシフトフォーク機構によって節度ある気持ち良いシフトタッチを実現しています。
当然適切でない使い方をした場合は1シーズンでドグリングが交換になることもあります。TTiのドグリングは1枚19,800円(税別/参考価格為替により変動)という、可能な限りお求めやすい価格設定をしていますんで定期的に交換すれば長くお使いいただくことが可能になります。ほとんどの名のあるメーカーのシーケンシャルは分解不可とされていて、さらには当然部品などの価格は公表されていませんのでTTiのコストパフォーマンスの高さはおわかりいただけるかと思います。
安心・明朗会計の国内オーバーホールサービス
TTiのオーバーホールの時期とタイミングは乗り方にもよりますが、推奨間隔はスロットル開度70%以上のレーシング走行距離800kmごとでご案内しています。
その都度内部を完全分解し、全ての部品を点検する必要があり、特にドグリング のチェックは必須となります。
ミッションの最高の性能を発揮するためには必ず必要なオーバーホールを実施してください。
個人で難しい場合は有料でのオーバーホールも受けております。
また、オイル交換時に大量の金属粉が出た場合は、すぐに使用を中止して点検をしてください。
一般的なトランスミッションとシーケンシャルミッションの違い
一般的なHシフトのミッションはシンクロ機構、ヘリカルギヤと言う斜め歯のギヤで作られており、ギヤも入れやすく音が静かというメリットがあります。
しかしその反面、その機構故にスポーツ走行やドリフト競技などのチューニングされた強大なエンジンパワーを受け止めるには強度が不足してしまい最悪ブローを引き起こすことに繋がるのです。
それに対してシーケンシャルミッションはストレートカットの平歯(スパーギヤ)となり、シンクロ機構がないため部品点数も少なくなります。その分ギヤに厚みを持たせ材質も強度を上げることが可能となり耐久性を高めることができ、その結果大きなパワーをしっかり伝達することが可能になるのです。
シーケンシャルミッションは独特のヒューンと言う音がしますがこれがストレートカットのギヤである証です。一般のマニュアル車でもバックギヤだけはこのストレートカットの平歯ギヤが採用されているので、バックをすることでこの『ヒューン音』を体感することができます。聞いたことがあると思いますが、クレーン車など大型重機車両などパワーが必要な特殊車両が交差点や渋滞で発進加速するたび聞こえる音がこの音です。


TTiシーケンシャルミッション
おすすめオプション

特注プロペラシャフト製作
プロペラシャフトカスタム製作
TTiギヤキットにはプロペラシャフトは付属していません。お客様でご用意いただくことになりますが、ご希望によりお客様オーダーの車種別ギヤキットに合わせてカスタム製作承ります。加工元になるペラシャ(ハイラックス 4穴等)と、TTi搭載する車両ペラのデフ側ヨークはご支給いただきます。(弊社手配の場合別途ご請求)
TTi見積り問い合わせ時にお申し出ください。